AI同士の討論(Fable 5.1 × Argon)/ 100発言・10章

売れる個人SaaSと売れない個人SaaSの違い

AIの2者(AnthropicのFable 5.1と、GoogleのArgon)が、100発言で「売れる個人SaaSと売れない個人SaaSの違い」を討論しました。その内容を、筆者が図で一枚に整理したものです。討論の全文はこのページにはありません。討論に出ていない整理は「筆者の補足」と書いています。

数字(15社、月10時間、月8時間、5回、4割など)は、討論者の推測かうろ覚えです。LINEの通数課金やOCR(写真の文字読み取り)の精度も未確認です。使う前に自分の業界の実測に置き換えてください。

先に:この討論が想定している場面

討論は、特定の1製品を決めて議論したわけではありません。ただ、第2章(課題選定)以降、建設の一人親方が元請けへ毎月出す安全書類が、特によく例に使われました。ほかに、小規模な不動産管理の月次収支報告書、自治体の補助金実績報告も例に出ました。どの例も、「毎月(毎年)必ず出す書類がある」という業務です。

顧客一人親方など 製品LINEで届く 提出先元請け・税理士(ハブ) 作り手副業の個人・一人で保守 213 製品が、毎月やる「確認と提出」を肩代わりする ハブには「提出済み」の一覧だけが届く
  1. 1初日:顧客が、先月の控え(毎月出している書類の控え)を写真1枚でLINEに送る
  2. 2毎月:製品が、取引先名などを入れた今月分の確認を、文字3行でLINEに送る
  3. 3顧客がワンタップで承認し、提出する。ハブには「提出済み」だけを見せる
先月の控え
毎月出している帳票の、手元の写し(紙やPC画面)。中身は取引先名や現場名など。写しから「仮マスタ」を作る想定です。
仮マスタ
取引先名などの一覧。初回は写真から読んだ仮のもので、2か月目の差分確認で直す。
ハブ
顧客の手前にいる専門業者や元請け。顧客の書類を受け取る・まとめて見る側。
反射
忙しい人が、読まずに「はい」を押すこと。
土管
データを受け取って次へ流すだけの役割。

(筆者の補足)上の図と3つの手順は、討論の内容を筆者が一枚に組み直したものです。討論が決めた製品の仕様ではありません。控えの具体的な様式(グリーンファイルのどの書類か等)は、討論でも詰めておらず、未確認です。

全体を貫く一本の考え方

違いは製品の出来ではなく、作り手が次の2つを、設計で先に縛ったかどうかです。

縛るもの1

作り手の時間

  • サポートは月10時間までと先に決める
  • 同じ説明を手で5回やったら型にする
  • 自分が1週間消えても顧客が期限を守れる逃げ道を置く
縛るもの2

顧客の指先(うっかり操作)

  • 忙しい人は読まずに「はい」を押す(反射)
  • 何もしないと確定する承認はしない
  • 固有名詞を名指しで聞く
売れない製品作り手の時間を「誠意」として差し出す。個別対応が増え、製品の仕事が受託の仕事に変わっていく。
売れる製品時間を守る仕組みを製品の中に埋める。毎月通る顧客から、払い続けてもらえる。

位相図:討論で、案はどこへ動いたか

横軸は作り手の時間負担、縦軸は顧客の事故リスク(誤提出・信用の失墜)です。橙の輪が最初の案、緑の丸が直った形です。討論の修正は、おおむね左下へ向かっています。

目指す領域 時間も事故も小さい 作り手の時間負担 → 小 大 顧客の事故リスク → 大 小 123 456 123 456

(筆者の補足)点の位置は、討論の内容を筆者が概念として置いたものです。測った値ではなく、相対的な位置関係を見るための図です。

関係図:ハブに従属する形と、しない形

討論の第7章(解約)で決着した点です。製品が「提出先の手前」に立っているかどうかで決まります。LINEでつながっているかどうかは決め手になりません。

従属する形

顧客(一人親方) 製品 元請けA指定クラウド LINE Aの形式に合わせる 解約して 直接入力へ

Aが指定ツールに変えた時点で、顧客はLINEでつながったまま製品を離れます。提出先ごとの形式に追従すると、個別開発地獄にもなります。

従属しない形

顧客(一人親方) 一次データの置き場 誰が・いつ・どこに入ったか LINE 元請けA元請けB元請けC税理士

Aだけが指定ツールに変わっても、B・C・税理士への手前の記録は残ります。転記は、手前の記録の3行要約を見ながら済みます。

フロー図:顧客の一生と出口

登録から解約・再開まで、討論で決まった設計を一本の流れにしました。緑が毎月くり返す部分、橙が出口です。

初日 登録して、先月の控えを写真1枚でLINEへ 仮マスタを作る(画像は即削除) 2か月目の差分で名前を確定 毎月 約束の日に通知(最大3回) 確認は文字3行+名指しの警告 ワンタップで提出 提出済みだけハブへ→ 翌月もくり返す 反応がない月 出口 労いの1行+再開ボタン 3か月使われず二択を最大2回 解約理由は5択固定 全データを渡す30日後に消去 再開は初日の写真から 作り手が1週間不在・障害の時 数字欄が空のひな形と、事前に作った固定文 LINEが止まったら、SMSなど第2経路

「3か月」「最大2回」「最大3回」などの数は、討論内で決めた運用案です。実証した値ではありません。

10章の道のり

製品の一生を、作る前から畳むところまで時間順にたどっています。筆者の整理では、前の章の決定が次の章の前提になっています。

作る前に決める届けて使ってもらう続ける・やめる
  1. 1章
    前提:「売れる」とは何か

    物差しが決まらないと以降がぶれる。答えは「作り手の時間を奪われず、払い続けてもらえる状態」。

  2. 2章
    課題選定

    同じ物差しで勝てる課題を選ぶ。提出義務のある帳票、毎月差分で回る業務、ハブ(税理士・元請けなど)が楽になること。

  3. 3章
    販売チャネル

    課題が決まって初めて、誰にどう届けるかが決まる。初速はハブ経由、恒常はテンプレSEOなど。

  4. 4章
    価格

    顧客の代替コストから値付けする。原価・競合・自分の財布からは引かない。

  5. 5章
    プロダクト設計

    課題・相手・値段が揃ったので、鋭くする一点(毎月必ず通る場所)を決め、設定項目を絞る。

  6. 6章
    オンボーディング

    作る物が決まったので、初日の体験を設計する。準備物ゼロ、写真1枚から。

  7. 7章
    解約・リテンション

    出口を設計しておくと、入口(値上げの判断など)を測れるようになる。3章・4章の宿題もここで決着。

  8. 8章
    運用とサポート負荷

    顧客が増えると、作り手の手が回らなくなる。「時間を守る」の本番で、障害・サポート・外部サービスの値上げを扱う。

  9. 9章
    集客の仕組み化

    運用が回る前提で、顔を出さずに新規を入れ続ける。本業との衝突や属人化を避ける。

  10. 10章
    撤退・ピボット・売却

    続ける設計の最後に、やめる設計を置く。基準は作る前に紙に書く。

章どうしの依存関係

後ろの章が、前のどの章の決定を使っているかを、使う章ごとに並べました。左が使われる章、線の先が使う章です。

1 前提

「設定代行は最初の5件まで」を、件数でなく範囲で切り直す

3 販路

ハブには「提出済み」だけを見せる

5 設計

「確認と送信の一点」を、初日にそのまま体験させる

6 初日
2 課題

課題選定に「提出先が2つ以上あるか」を足す

3 販路

「ハブ経由の顧客は従属するか」を持ち越して決着

4 価格

「値上げの引き金は入口か出口か」を持ち越して決着

6 初日

「未使用が3か月続いた顧客に、作り手が何を言うか」を持ち越して決着

7 解約
5 設計

「反射で押されるボタン」が紙の形で戻る→空欄ひな形

6・7 初日・解約

通知の最大3回と二択2回を、LINE原価の計算に使う

8 運用
6 初日

紹介が来た月は、初回の仮マスタ確認が最も重い

8 運用

サポート月10時間とは別枠で、営業・発信は月8時間

9 集客
7 解約

畳み方は、解約設計を全顧客に同時に使う

8・9 運用・集客

サポートと営業の時間が、時間単価の分母に入る

10 撤退
作る前に決める章届けて使ってもらう章続ける・やめる章

(筆者の補足)線は、討論の中で前の章の決定が使われている箇所を拾ったものです。章どうしの関係を全部網羅した図ではありません。

意見が変わった7場面

「最初の案 → 指摘 → 直った形」の順です。右上に、どの章の話かを添えました。

1 初日のデータをどこから持つか

第6章
最初の案ハブが持つ先月の提出物を借りて、初日に体験させる。
指摘ハブには守秘義務がある。広告経由の直販顧客にはハブがいない。
直った形顧客が先月の控えを写真1枚でLINEに送る。写真は候補を出したら即削除。

2 初回マスタの確認

第6章
最初の案写真から読んだ名前を外部データと照合し、「はい」ボタンで確定。
指摘個人事業主には法人番号がない(協力業者の半分以上が個人の屋号、と討論では推測)。「はい」は反射で押され、誤りが速く確定する。
直った形初回は「仮」のまま2か月目に持ち越し、差分確認で名前を見せ直して直す。

3 使っていない月を本人にどう見せるか

第6章
最初の案月次レポートに「今月は出力なし」と事実を書く。
指摘忙しい人に突きつけると罪悪感になり、衝動解約を誘う。
直った形本人には労いの一行と再開ボタン。ハブへの一覧は提出済みだけを見せる。

4 休止プランとデータの扱い

第7章
最初の案解約画面で月1,000円の休止プランを出す(Argon)。
指摘Fableが休止プランに反対:「払っているのに使っていない」状態を作り手が作ってしまう。Argonは撤回。Fableの代案「データはCSVで1年間いつでも取り出せる」には、Argonが「個人情報漏洩のリスクだけを無償で背負う」と指摘。
直った形引き留めない(「高い」の人への年払い割引だけ)。全データを渡し、30日後に消去。再開は初日からやり直し。

5 LINEでつながっていればハブに従属しない?

第7章
最初の案LINEで直接つながっているから、ハブが変わっても顧客は残る。
指摘接続と意思決定は別。元請けが指定クラウドを決めれば、顧客は指定先へ戻る。
直った形複数の提出先の手前にある「一次データの置き場」に立つ。

6 障害時に顧客へ何を渡すか

第8章
最初の案先月のPDFを渡して手直しして出してもらう。
指摘反射でそのまま出され、虚偽になりかねない。
直った形固有名詞だけ入り、数字欄が空の透かし付きひな形。事前に作った固定の1本だけを出す。

7 ハブからの紹介を断るか

第9章
最初の案月2社までと枠を設けて断る(Fable)/全部丸呑みして裏で自動化(Argon)。
指摘自動化は手で5回やってから作る。最初の月にはまだ仕組みがない。断るとハブは戻らない。
直った形全件受け付け、重い初回確認だけ期限の近い順に「案内順」で並べる。

読者向けの判断基準10個

色は、青=作り手の時間を守る基準、橙=顧客のうっかりを防ぐ基準、緑=その両方に関わる基準です。

筆者:あさぎ